展覧会概要
HRDファインアートでは、「Boundaries(境界)」をテーマに、日本とドイツの30代〜40代の写真作家4名によるグループ展を開催いたします。
川や山などの地理的な境目、国境や壁、あるいは私たち人間の皮膚など、「境界」は2つの異なる世界を隔て、分離するものであると同時に、2つの世界が互いに接触し、交流し、ときには混じり合い融合する場所でもあります。本展は、文化的背景の異なる作家による多様な写真作品を通じて、始まりと終わりが同居する地点としての「境界」が持つ豊かな含意に焦点を当てる展覧会となります。
出品作家は、写真にとどまらず幅広いメディアで場所性に着目した作品を制作するトーマス・ノイマン、コラージュ的手法で現実と虚構を巧みに交錯させるカトレン・ヘヴェル、自然と人工、光と影などを対置させた峻厳な写真表現を追求する南條敏之、記憶や歴史、神話や物語が織り成す幻想的な光景を絵画的に構築した作品を中心に制作している金サジの4名です。
カザフスタンの茫漠と広がる平原を撮影したトーマス・ノイマンの白黒写真は、本来境目など存在しないはずの空間を「風景」として切り取ろうとする人間の意識を明らかにします。カトレン・ヘヴェルの作品は、透過性フィルムにプリントしたフォトコラージュと鏡を組み合わせ、現実と虚像の隙間へと観る者を誘います。「shelterbelt」と題した南條敏之のシリーズは、日本各地の海岸線で自然と人間を隔てる役割を担ってきた防砂林・防風林に取材した精緻な作品です。金サジは、異なる文化や歴史が交錯し混交する場面を象徴的に捉えたスナップ写真をインスタレーション的に構成します。
日常生活や風景の中に垣間見える様々なBoundaries=境界を切り口に、ドイツと日本の豊かな写真表現の一端をぜひご覧ください。
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本展はKYOTOGRAPHIE京都国際写真祭のサテライトイベント「
KG+ 2019」の参加展覧会です。