展覧会概要HRDファインアートでは6月から8月にかけて、「The Game Must Go On」と題して、栗原亜也子とヨム・ソジンの日韓作家2人展を開催いたします。
栗原亜也子もヨム・ソジンもともに、ジャンルや素材の壁にとらわれることなく、絵画や映像、インスタレーションといった多様な表現メディアを自由に横断しながら作品制作を続けている作家です。
栗原は、ボードゲームのひとつである「オセロゲーム」のルールに則して、グリッドのマス目の中にスタンピングやドロッピングの手法で2つの色を交互に積み重ねていくことによって画面を構築していく作品シリーズ「Mind Games」に継続的に取り組んでいます。観客参加によるパフォーマンスや映像も取り入れながら、世界や社会の持つゲーム性やルール性、そしてそれらに対する問いかけが重層的に暗示されています。本展では、会場内でライブペインティングのパフォーマンスも行い、インスタレーションが会期を通じて刻々と変化し続けます。
ヨム・ソジンは、デジタル化し、インターネットが大きな影響力を持つようになった現代社会における新たな人間関係や人間性の在り方についての探究を続けています。ネットというバーチャル空間で、私たちはまるでロールプレイングゲームのキャラクターのように、仮想の役割を演じることを強いられ(あるいは自らすすんで演じて)います。ヨムの作品制作は、そうした仮想と現実の間のバランスを見出す作業のようにも見えます。本展では、「世界の実験場」「人工国家」とも呼ばれるIT先進国シンガポールを訪れた作家が、現地で得た印象をもとに制作した作品シリーズを展示します。
The game must go on. ゲームは続く。私たちは人生という終わりなきゲームに興じながら、何を勝ち取り、何を失っているのでしょうか。真摯さのなかに独特のユーモア感覚も垣間見せる栗原亜也子とヨム・ソジンの2人の作品は、改めてこの根源的な問いと向き合う機会を私たちに提示してくれます。
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企画協力:
鞍馬口アートインスティテュート(KAIK)
映像機材協力:林ケイタ
画材協力:
福西和紙本舗