展覧会概要
本展は、金箔を用いて現代の絵画表現を追究している、日韓の美術作家6人の作品を展示するグループ展です。
金箔を使った絵画表現は、西洋・東洋どちらにおいても古代・中世からの長く豊かな歴史を持ちます。西洋においてはテンペラ技法を用いた聖像画・イコン、モザイク壁画などにおいて、また東洋においては障壁画や漆絵などにおいて、それぞれの美学や美的感覚、また宗教や哲学を背景として、技術技法を発展させてきました。東洋における金箔の貼り方と、西洋における金箔の使用方法は、美術史の中で全く異なる発展を遂げていきますが、近代ヨーロッパでは19世紀末にジャポニスムの一部として金箔を用いた表現が取り込まれ、また東洋ではキリスト教布教のために黄金背景のイコンが大きな役割を果たすなど、東西文化のクロスオーバーを象徴するものとして捉えられる側面もあります。
絵画の背景をなす脇役として捉えられることも多い金箔技法ですが、単なる背景としての機能にとどまらず、あるときは宗教的な荘厳さを示すために、また奥行きのある空間を表出するため、またあるいは所有者の威光や権力を誇示するために、金箔が果たしてきた積極的な役割は決して見過ごすことはできません。
本展覧会は、西洋と東洋で全く異なる進化をしてきた「絵画における金箔」の伝統的な技術技法を受け継ぎ、また同時にそこに美術の歴史の意味や必然を読み取りながら、現代における絵画表現に取り込もうとしている日本と韓国のアーティストたちの作品を通じて、現代美術における技法材料の側面に新たな光を当てることを目的としています。また同時に、金箔に込められてきた思想や精神性、メッセージなどにも目を向けながら、美術の長い歴史につながる21世紀の絵画表現の可能性について思いを巡らす機会を提供することをも目的とします。
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Hyun Gallery
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