HRD FINE ART

展覧会概要

HRDファインアートでは、2018年の最初を飾る展覧会として、韓国人木彫作家イ・ジェヒョンの個展「Tools - Replacing Mind」を開催します。

イ・ジェヒョンはソウルの弘益（ホンイク）大学で彫刻を学んだのち渡米、ニューヨーク州のロチェスター工科大学で木工と家具デザインの修士号を取得します。現在はソウルに拠点を置いて活動しています。

イ・ジェヒョンの木彫作品に通底しているのは、機能性と審美性、意味性と抽象性といった、相反するテーマの同居です。例えば、椅子の要素を備えてはいるものの椅子としては使うことのできないオブジェからは、その精緻な仕上げ作業の美しさも相まって、20世紀のシュルレアリストたちが実践した「デペイズマン」とも通じる思考、あるいは日本の侘び茶の「不完全の美」とも通じる精神が感じられます。

本展では、様々な「ツール」すなわち工具や道具の形態を木材で模倣した作品群が展示されます。木彫であって道具ではなく、そもそも機能を果たすことのできないこれらのオブジェは、しかし単なる「見掛け倒し」の対極に位置する存在です。イ・ジェヒョンの作品は、私たちが当たり前に抱いている「物」や「物質」に対する意識に心地よく揺さぶりをかけてくれるのです。