展覧会概要
HRDファインアートでは4月から6月にかけて
南條敏之個展「suns / signs / spectators」を開催いたします。南條のシグネチャーとも呼ぶべき「suns」シリーズの新作を中心に、初めての発表となる「spectators」と題したシリーズの作品も展示します。HRDファインアートでは2015年に続き2回目の個展開催となります。
南條は、水面に反射した太陽光の痕跡を長時間露光によって捕捉した「suns」のシリーズにこれまで長年にわたって継続して取り組んでいます。今回の新作は、これまでの同シリーズのカラープリントとは異なり、モノクロームのデジタルプリントで、明暗の対比を通じて光の存在感がより直接的に強調される表現となっています。あたかも版画のように、黒の顔料の不在、印画紙の露出によって光の存在が暗示されるという、やや逆説的な写真言語が「suns」シリーズに新たな展開を加えています。
一方、「spectators」のシリーズはカーレースが行われるサーキットを舞台に、高速で移動するレーシングカーと観客の後ろ姿を同時に捉えたシリーズです。緊張感と脱力感が同居するややユーモラスな画面の中に、視線、速度と時間、写真的主語など、写真にまつわるさまざまな命題が興味深く包含されています。