ヤミ 〜 寺島みどり+冬耳 二人展
Midori Terashima + Fuyuji: Yami


会場:HRDファインアート
会期:2016年4月1日〜5月21日(会期中金・土曜日のみオープン/その他の曜日は要アポイント)
時間:11:00〜18:00
展覧会概要

HRDファインアートでは、2名の絵画作家、寺島みどりと冬耳による展覧会を「ヤミ」と題して開催いたします。

油彩ならではのダイナミックな筆触により、自然の風景や植物のイメージを湛え生命のエネルギーが滲み出るような抽象絵画に取り組んでいる寺島みどり。アクリル絵具を用い、明瞭なエッジのラインとビビッドな色遣いによる色面構成で人や動植物などのモチーフをファンタジックに表現する冬耳。本展は、ともに色彩の画家として知られながら対照的な制作手法・志向を持つ2人の絵画作家が、色のない「ヤミ」を共通のテーマとして制作した絵画作品による二人展となります。

東日本大震災の直後、原子力発電所の事故を発端として電力危機が叫ばれる中、節電への取り組みや照明の自粛などにより、明かりが消えあるいは抑えられた暗い夜を私たちは体感しました。震災から5年の年月を経た今、そうした「暗さ」を善しとする風潮はすでに過去のものとなり、イルミネーションやプロジェクションなどが街を夜でも昼のように燦々と照らし出し、どこに行っても液晶画面が煌めく日常が当たり前のように戻ってきています。

暗い森の中で得体の知れない怪物の存在を想像しておののいたり、あるいは逆に漆黒の夜に光をもたらす火の力を崇めたりと、暗闇は人間の精神性の深化において重要な位置を占めてきました。光が満ちあふれ闇がほとんどなくなった現代社会は、私たちに便利さや快適さ、安心をもたらした反面、かつて持っていたはずの感覚や感性を私たちから削ぎ落としてしまっているのかもしれません。

本展は、暗闇に対する畏怖やそこから引き出される精神性・想像力を横糸に、そして色彩を抑制した暗色の絵画の豊かな可能性を縦糸に、「ヤミ」に秘められた「美しさ」を見つめ直す展覧会となります。
展示作品・参考作品

寺島みどり
"oto 2" | 2016 | 38x45.5cm | 油彩/キャンバス

寺島みどり
"oto 3" | 2016 | 38x45.5cm | 油彩/木製パネルに綿布

冬耳
"黒のまぼろし" | 2016 | 60.6x45.5cm | アクリル/キャンバス

冬耳
"夜空が森に帰るまで" | 2015 | 10x10cm | アクリル/キャンバス
展示風景
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