展覧会概要
HRDファインアートでは、5月11日から7月6日までの会期で「GOLD EXPERIENCE 3 〜 メタリュージョン:日韓現代金箔絵画・京都鞍馬口編」と題したグループ展を開催します。日本4名、韓国4名、総勢8名のアーティストによる国際交流展となります。
HRDファインアートは、2010年に韓国・ソウルにて
「GOLD EXPERIENCE 〜 日韓現代金箔絵画」を、また2012年には愛知にて
「GOLD EXPERIENCE 2 〜 金鯱によせて」を企画開催しました。今回の展覧会「GOLD EXPEERIENCE 3 〜 メタリュージョン」は、10年以上の時を経た第3弾として、「金箔・金属箔」を用いた絵画表現に取り組む日本と韓国のアーティストを再び紹介する展覧会となります。
出品作家は、日本から白河ノリヨリ、安喜万佐子、木村了子、七篠奈津美の4名、韓国からパク・ヒョンジュ、ソン・ジュントク、イ・ミヨン、ク・ボナの4名で、それぞれに主題やテーマも、また箔を用いる技法も異なります。
金箔を使った絵画表現は、西洋・東洋いずれにおいても、古代・中世からの長く豊かな歴史を持っています。西洋においてはテンペラ技法を用いた聖像画・イコン、モザイク壁画などにおいて、また東洋においては障壁画や扇面画などにおいて、それぞれの美学や美的感覚、また宗教や哲学を背景として、技術・技法を発展させてきました。近代ヨーロッパでは19世紀末にジャポニスムの一部として金箔を用いた表現が取り込まれ、また東洋ではキリスト教布教のために黄金背景のイコンが大きな役割を果たすなど、東西文化のクロスオーバーを象徴する事物として捉えられる側面もあります。
絵画の背景をなす脇役として捉えられることも多い素材ですが、あるときは宗教的な荘厳さを示すために、また無限の空間を表出するため、またあるいは所有者の威光や権力を誇示するために、金箔が果たしてきた積極的な役割は決して見過ごすことはできません。
本展の副題「メタリュージョン」は、金属(メタル)の輝きや光を絵画に取り入れることによって生まれる錯覚(イリュージョン)や隠喩(アルージョン)、暗喩(メタファー)、様々な絵画技法や文化的背景の融合(フュージョン)、絵画における超越性(メタ)などを表現した造語です。
金箔・金属箔を用いた絵画の多様・多彩な表現を通じて、絵画の歴史と未来に目を向けるとともに、日本と韓国の美術を通じた交流の一端を担うことも企図した展覧会となります。